ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅
個人的には『アズカバンの囚人』が原作・映画共にハリー・ポッター・シリーズの頂点だったと思います。
学園ものとしてスタートしておきながら生徒たちの成長を描ききれず、たくさんの人々を死なせていくだけの殺伐とした物語で終わってしまったのは、思わぬ大ヒットのプレッシャーから「子ども向け」というレッテルから逃れようとした原作者J.K.ローリングの責任だったと思います。
そんなローリングが新しい脚本を書きました。
ハリー・ポッターの世界を舞台にしていますが、シリーズのおなじみのキャラクターは誰も出てきません。いわゆるスピン・オフです。こんどの主人公たちは、一転して大人たちとなりました。イギリスの山深い全寮制学校から今回の舞台は20世紀初頭のアメリカに移りました。そのせいか雰囲気に開放感があり、旧シリーズとはだいぶ趣が異なります。
男性二人、女性二人を中心に物語は進んでいくのですが、この4人の演技がとても素晴らしいです。そんな大人の演技の受け皿となる本作の物語。それはハリー・ポッター同様の魔法ファンタジーでありながら大人のラヴ・ストーリーでもありました。ファンタジー映画にありがちな破壊で終わるのではなく、再生で終わるこの物語は正に絶品です。ローリングは本当によいものを書いたと思います。
ハリー・ポッターという呪縛から逃れたJ.K.ローリング。彼女にはまだまだよい物語を書く才能が残されていた。それが確認できたことがこの映画の一番の収穫でしょうか。
41/2016
#776
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