ビッグゲーム 大統領と少年ハンター
サミュエル・L・ジャクソン。現在の映画界に欠くことのできない超人気俳優であるが、こと主演作となるとなぜかB級が多いイメージがある。
本作もそのタイトルから察していただけるようにフィンランド製作のB級アクションである。大統領専用機がテロリストに撃墜され、フィンランド山中に一人取り残されたアメリカ大統領。そこに行き合わせたのが、ちょうど村のハンター試験で単身狩猟中の13歳の見習いハンター。二人に襲い掛かる精鋭のテロリスト集団。なんとなく面白そうなB級映画である。
そしてこの映画、当然低予算であるわけだけれど、とても頑張っているし何よりバランスが良い。派手なシーンは数を絞り、そこにCGを集中していくつかの見栄えのあるシーンを用意。その繋ぎは、サスペンスというよりはどちらかというとユーモラスな掛け合いを中心に。そう、笑いはお金をかけなくても取れるのである。全体を通しては大統領の脱出と少年の成長を並行描写するという王道のパターン。舞台となるのはフィンランドのとても美しい森林。空撮シーンなどは息を飲むほどの素晴らしさであり、正に地元の自然を映画の味方につけているといえる。
しかし所詮はフィンランド製作のB級映画である。その公開規模は小さい。夏休みの大作が居並ぶ中で、サミュエル以外は誰も知らないこの映画の上映枠が無いのはとても理解ができる。「8月に1本だけ映画を観たい」という友達がいたら、わたしだってこの本作ではなく『ジュラシック・ワールド』を勧めるだろう。どんなに映画の出来が良くても、多くの人の目に触れることもなく、ひっそりと退場してゆくのがB級の定めである。
数か月後のレンタルビデオ店で、一人でも多くの人に手に取ってもらえることを祈っています。
50/2015
#722
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