バケモノの子
居場所を失った少年がバケモノの世界に迷い込む。
そして同じく居場所のないバケモノと共同生活をはじめ、やがて双方が双方の居場所となる。このあたりはとてもスムーズな流れで心地よい。ユーモラスなバケモノの世界に観客はどっぷりと浸り込むことになる。
しかし唐突に、物語は現代の東京に移る。少年は8年ぶりに異邦人として現実世界に戻り、少女と出会い、父と再会する。ここまでファンタジー世界に浸りきっていた観客は、少年同様に戸惑いを覚えることになる。しかし、それでよいのだ。少年にとって、バケモノの世界は所詮仮の居場所にすぎない。現実と向き合い、9年前にはできなかったすり合わせを行う必要があるのだ。
バケモノへの想い。少女への想い。そして父への想い。
モラトリアムを終えようとする少年のこころの揺らぎをこの映画はとてもよく表現できていたと思います。だからこそ、終盤にお約束の様に壮大な戦闘シーンが入ってきたことが残念です。アニメというフォーマットゆえの宿命かもしれませんが、あれがなくても物語は完結できたと思いますし、また、そういう映画創りを目指してほしいです。
前作に続き素晴らしいオリジナルストーリーで映画を創り上げた細田監督ならそれができるでしょう。日本のアニメが脱アニメを果たす日は近いです。
45/2015
#715
| 固定リンク
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- マグニフィセント・セブン(2017.02.18)
- ザ・コンサルタント(2017.01.28)
- 本能寺ホテル(2017.01.23)
- アンダーワールド ブラッド・ウォーズ(2017.01.09)
- Year 2016(2016.12.30)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント