日本のいちばん長い日
太平洋戦争の最後の数日の混乱を、混乱の渦中にいた複数の人々の視点から描いた映画です。
それぞれの人に葛藤があり想いがありますが、この映画は特定の人の気持ちに寄り添うようなことはありません。淡々と、混乱が混乱のまま、涙や感動とは無縁に時は進んでいきます。
よってそこにはドラマとしての盛り上がりはありません。また史実に対する何らかの解釈や意見のようなものもありません。山﨑努、役所広司を始めとした男優陣の演技、原田監督の重厚で雰囲気ある絵造りなど見どころは多いものの、一本の映画としてみると面白みに欠けるものだといえるでしょう。
しかしこの映画を、国民を置き去りにして身勝手な人々が巻き起こす混乱、その混乱の疑似体験ツールとして考えると、観客を置き去りにするこの映画のつくりも納得がいきます。一人一人は善良な人々が、いざ政府や軍などの組織として行動しはじめると、そこには構成する人々の良心が反映されなくなる。人類は社会的な生き物だといいますが、その社会性が自らの首を絞めるというのもまた皮肉なものです。
47/2015
#717
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