ターミネーター:新起動/ジェニシス
もはや消費され尽くした感のあるシリーズだった。
安易な焼き直しの『3』。正統な続編ながら魅力に欠けた『4』。ビッグタイトルでありながら、決して製作者側に愛されてきたとは思えないここまでの展開である。だから本作に対しても、一言でいえば「何を今さら」という印象しか持ちえなかった。
しかし、本作は違った。
焼き直しという意味では『3』と同様だけれども決定的な違いがある。それはシリーズに対する愛である。パラレルワールドだということを前面に出して強引に『1』と『2』を焼き直しつつも、そこには愛に溢れるいくつものアイディアがある。
まずは今までは来訪者であったシュワルツェネッガー扮するターミネーターを、本作では『待機する者』として設定したことである。サラ・コナーを守るために、タイムトラベルで現れる味方や敵を、彼は数十年に渡ってじっと待っているのである。このアイディアには脱帽である。本作で復帰したシュワルツェネッガー、彼の自然な老いた姿を100%生かし切った設定である。
そして今まではジョン・コナーを守るものとして配されてきたサラ・コナーとカイル・リース、この二人の存在にしっかり光を当てたシナリオがとても良い。二人の人生を描ききること、そして二人のこれからを印象付けること。三人が静かに佇むエンディングは、とても後味の良い素晴らしいものだった。
不遇だったシリーズを、再起動してきれいに終わらせる。
『1』『2』のファンには本当に涙モノの感動作である。『2』から四半世紀、やっとシリーズは美しい最期を迎えることができたのである。
43/2015
#713
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