ワイルド・スピード SKY MISSION
まさに横綱相撲である。
冒頭から描かれるレギュラー陣の日常。前作からの2年間。みんなはどんな風に過ごしていたのだろうか。そんな空白を埋めていく感覚で、観客はすでに満足である。このような楽しみ方は、成功したシリーズ映画のみからしか得られない贅沢である。
今回も前作以上に破天荒なアクションシーンが続くけれども、それでもこの映画が現実感を失わないのは、ここまで丹念に育てたキャラクターの人生がそこにあるからである。とくに今作は、ヴィン・ディーゼル扮するドミニクの自らの『家族』を愛する姿勢が映画に一本の筋を通している。サブキャラクターの活躍をあえて抑えてドミニクにフォーカスを絞ったシナリオは、シリーズの最後を飾るに相応しいものであった。
遠い遠い、シリーズ1作目での出会いのように、車窓越しに見つめ合うヴィン・ディーゼルとポール・ウォーカー。ここまでシリーズを引っ張ってきた二人の絆は強いけれども、それでも両者の進む道が分かれていくエンディングが秀逸。絆があっても別れはくるけれども、別れたからといって絆は途切れはしない。それがこの映画が描いた人生である。
全世界で10億ドルを超える大ヒットとなれば、ユニバーサルがこのまま終わらせてくれるとは思えない。いつの日にかまたドミニクと出会う日はやってくるだろう。それでも『ワイルド・スピード』シリーズはここで終わりです。回を重ねるごとに成長し、よい映画になり続けてきた稀有なシリーズ。進む道はどこまでも一本道ではありません。世界一幸せなシリーズ映画も、いつかは必ず終わるのです。しかしそれを悲しむことはない。そうこの映画は言っています。
22/2015
#691
| 固定リンク
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- マグニフィセント・セブン(2017.02.18)
- ザ・コンサルタント(2017.01.28)
- 本能寺ホテル(2017.01.23)
- アンダーワールド ブラッド・ウォーズ(2017.01.09)
- Year 2016(2016.12.30)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント