博士と彼女のセオリー
この映画はラヴ・ストーリーであるとともに、膨張してゆく宇宙の話でもある。
その進む速さは相対的なものであり決して同じ時間を費やすわけではない。
それでもその流れは絶対に止まることはなく、あらゆるものは留まり続けることができない。
そしてこの映画は、スティーヴン・ホーキングの物語であるというよりは、その妻ジェーンの物語である。
光のように真っ直ぐで、力強く進むジェーン。
しかしブラックホールの重力を前にしては、その光の進路でさえが歪んでしまう。
しかし特異点に囚われたように思えても、粒子は放射され留まることはできない。
流転してゆくこと。それこそが粒子の本質であり、恐れることはなにもない。
神を必要としない科学者たちも、神を崇める宗教家たちも、全ての粒子は同じ法則に囚われており、やがて彼らはそのことに気が付いてゆく。生まれては滅び、滅びては生まれる。そこにあるのは、留まることを知らずに変化し続ける美しい宇宙の姿だ。
方程式により解が導かれるのではなく、方程式こそが解なのかもしれない。
この映画は健気に真理を追い求める、わたしたちの映画なのです。
17/2015
#686
| 固定リンク
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- マグニフィセント・セブン(2017.02.18)
- ザ・コンサルタント(2017.01.28)
- 本能寺ホテル(2017.01.23)
- アンダーワールド ブラッド・ウォーズ(2017.01.09)
- Year 2016(2016.12.30)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント