イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密
色々な要素がとても上手く盛り込まれています。
解読不可能とされるエニグマに挑むチームの物語。
多くを救うためには少数を犠牲にする非情なスパイたちの物語。
『マイノリティ』であるという自らの出自に翻弄されるある男の一生の物語。
どれがメインのストーリーラインというわけでもなく、これらが混然一体となって絡み合う様はなかなか圧巻です。
しかしそれゆえに、どこか小さくまとまってしまった印象があるのも事実です。どのストーリーラインも秀逸ですが、やはり要素が増えれば増えた分だけ、それぞれの掘り下げが浅くなってしまうのは避けられません。精緻なシナリオに沿って登場人物が動いていくだけでは、それが血の通った人間であることを観客に印象付けることが難しくなります。
多くの観客が「これはエニグマを解読する作戦の映画だ」と思っていたはずですが、単にそれだけに留まらない二転三転する着地点の見えない展開は、多くの人の予想を超えていたと思います。しかしそれをエモーショナルな感動に結び付けられなかったところが、唯一この映画の残念だったところです。
もちろん感動を盛り上げるということは物語の単純化にもつながるわけで、実話ベースの映画だけに「現実はそんなに単純なものではなかった」ということなのかもしれません。これは伝記というものを取り上げる際のスタンスの問題かもしれませんが、何にせよアカデミー脚色賞受賞も納得の素晴らしいシナリオでした。
18/2015
#687
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