ビフォア・サンライズ 恋人までの距離
互いにひかれあいながらも、翌朝には別れなければならない二人のたった一夜の物語。
そんなドラマティックなシチュエーションの映画なのですが、そこに描かれるドラマ自体には劇的な要素が全くないのがこの映画の面白いところです。この映画で描かれるのは、次第に打ち解け近づいていく二人の、自然で優しい会話です。二人の言葉の応酬が、圧倒的なセリフ量で観客を満たしてゆきます。
しかしどうでしょう。あまりに自然で、あまりにほほえましい二人の様子。それが自然であればあるほど、ドラマ性を排した日常描写が秀逸であればあるほど、このドラマの特異なシチュエーションが取り残されてしまっているのも事実です。そもそもなぜ二人は翌朝別れなければならないのか?そのドラマティックな状況に説得力を持たせるためには、この映画は非ドラマ的でありすぎるのです。二人の姿は自然すぎるのです。
一夜限りというシチュエーションがこの映画の肝でありながらも、その設定が映画の中で完全に浮いてしまっているというところ。それがこの映画の一番興味深いところだと思います。
そしてこの映画の監督リチャード・リンクレイターが、ある家族の12年間の物語を出演者を変えずに、12年かけて撮りました。
(『6才のボクが、大人になるまで。』に続く)
#681
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