6才のボクが、大人になるまで。
(『ビフォア・サンライズ 恋人までの距離』より続く)
同じ俳優で、12年かけて12年間を撮影する。劇映画として考えれば完全に邪道です。
上手に嘘をつくのが、映画監督の仕事です。では、そうまでしたリチャード・リンクレイター監督の狙いは何か。それは『完全版ビフォア・サンライズ』だったのではないでしょうか。
この映画では、本当に何も起こりません。もちろん良いことも悪いことも起こりますが、それはあくまでも一般家庭レベルでの話。とてもドラマティックな出来事ではありません。そこにあるのは、あくまでもごく普通の家族の姿です。その家族の姿をどこまでも自然に、そしてどこまでもやさしく描いていきます。
ここまでドラマ性を排してしまうと、下手をすると観客は退屈してしまうかもしれません。でもこの映画はそうはなりません。この映画には圧倒的な『生きている』感覚があります。映画の登場人物たちが必死にもがいている力強さがあります。この生命力こそが、12年間をかけて監督がフィルムに写し取りたかったものなのではないでしょうか。
変わった出来事なんかなくてもいい。当たり前の毎日でもいい。ただ生きて、一日一日成長していくことこそが、人にとっての最高のドラマなんだ。
この映画の後半にこんなセリフがあります。
「お父さんの話、結局要点はなに?」
「要点なんか、知ったことか」
そう、要点なんて関係が無いんです。一瞬一瞬が全てなのです。
ある意味、人生は全てが要点なのです。
13/2015
#682
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