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2015/03/09

シェフ 三ツ星フードトラック始めました

Ch 『アイアンマン』の監督が誰かということは、世間ではあまり気にされていないのではないでしょうか。

ポスターに監督名が出るわけでもなく、きっと可もなく不可もない職人監督が無難に務めているのかなぁと、わたしは思っていました。そんなジョン・ファヴロー監督が主演・製作・監督・脚本と、ほとんど一人で創り上げてしまったような本作を観て、とても才能のある人だと思い知るとともに、『アイアンマン』シリーズの出来の良さはこの人のおかげだったのだなぁと、改めて実感しました。

前半は主人公のシェフがSNSの炎上騒ぎから坂道を転げ落ちるように全てを失っていく様が描かれます。自分の好きなように料理を作りたいシェフ。定番の料理で顧客をもてなしたいオーナー。斬新な料理を常に求める批評家。この三者の対立を、実は誰が正しいというわけではないという視点から描いているのが秀逸で、これがラストの伏線となっているが上手い。本来対立しているわけではない単なる個々人の多様性を、あえて無理やり比較検討して優劣を決しようとしている。そんな無駄な行為がSNSの炎上という現象を生んでいるのだということがよくわかります。

そして後半は、シェフと息子のロード・ムービーへと映画は姿を変えます。ここのパートが本当に素晴らしい出来です。美味しい料理を作って、食べた人を喜ばせて、音楽を楽しんで、毎日を楽しく過ごす。ここではロード・ムービーにありがちな旅の障害は一切起こりません。どんなトラブルも、どんな悪意も、彼らには一切降りかかりません。そこにあるのは、ただただ楽しく幸せな毎日です。

旅はいつかは終わります。この映画の旅も西海岸に着いたら終わってしまうのです。それでも終わってしまうからといって旅に価値が無いわけではありません。限られているからこそ、毎日は価値を持つのかもしれません。シェフの息子は毎日1秒ずつ撮った旅の映像をコラージュして、旅の最後にSNSにアップします。そこに映し出される幸せな1秒1秒。その価値は決して映画の中だけにあるものではありません。

低予算映画でありながら、ロバート・ダウニーJr、スカーレット・ヨハンソンといったマーベル人脈を始め、ダスティン・ホフマンなどの大スターが脇役で登場。それでも彼らに負けないシェフの存在感。とても完成度、満足度の高い素晴らしい映画でした。

12/2015

#680

 

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