フォックスキャッチャー
レスリングのオリンピック代表にまつわる実際に起きた悲劇を題材とした実話ドラマ。
というと堅苦しい雰囲気もするけれど、事件はあくまでもジョン・デュポンという一人の男の内面に起因したものであり、映画も心理ドラマとしての側面が強い。
常に母の顔色を伺い、母に認められることが喜びであり、しかしそんな母にどこか反発している。そんなマザコン気味の性格をベースに、虚栄心、自負心、それに相反する劣等感。屈折してはいるけれども、どこにでもいそうな性格の持ち主。それなのに行き着く先はどこにでも起こるわけではない殺人という行為。
観客にとって結末はポスターを見ただけでわかってしまっているのに、全編を覆う静かな緊張感が見事です。沈黙や静寂を多用した演出がとても素晴らしく、スクリーンから目が離せない映画というのはこういう映画をいうのでしょう。
アカデミー賞は無冠で終わりましたが、ご存知の通りアカデミーノミネート止まりは傑作の証。演技、シナリオ、演出ががっちりかみ合ったとてもよい出来です。
10/2015
#678
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