バンクーバーの朝日
どうにも合わない監督というのがいます。
わたしにとっては本作の石井監督が正にそうです。
相変わらずの大げさでわざとらしい演出による人物描写。まずこれがどうにもいけません。
それが面白さにつながる部分もあるのかもしれませんが、コメディならともかく本作の様なドラマにあっては、それがキャラクターの内面描写につながって行かない上辺だけのものであるかぎりは、映画にとってはあまり役には立たない演出なのだと思います。
また役に立たない、ドラマの中で機能していないキャラクターが多く見受けられるのもどうかと思います。宮崎あおい、本上まなみといった有名女優がまったく存在する必要性のないキャラクターに配されているのは、キャストに名を連ねることで彼女たちを客寄せに使っただけだと勘ぐられてもしかたがないのではないでしょうか。またピッチャーであるロイの病身の母親なども、単に「病気の母=苦労がある」というキャラクター設定上の記号として配されているだけであり、親子の心のつながりが全く描かれていなければ、最後に具合が悪そうに登場したからといって観客が感動を覚えるのは無理というものです。
総じてキャラクター描写が浅いため、キャラクターの魅力もなく、またドラマにも説得力が生まれない。「決してフェアでない世の中で、野球だけはフェアだった」というメインテーマが良かっただけに、つくづく残念です。
78/2014
#666
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