ドラキュラZERO
祖国を外敵から守る名君としての顔と、『串刺し公』と称されるような残虐な顔。
そんな二面性を持つ、ドラキュラのモデルであるヴラド3世を主人公に据えたのがこの映画。「なぜヴラドは吸血鬼になったのか?」そのあたりのドラマを、オスマントルコとの戦いを中心にゴシックホラーテイストで描いています。
物語の出来がとてもよく、ヴラドが悪の力を借りるという禁断の道に走った経緯が情感豊かに描かれています。吸血鬼の力を手にしてオスマントルコを蹴散らすというあらすじは予想通りでしたが、単なるホラーアクションにとどまらないその展開は予想を大きく超えていました。
復讐心に燃える瀕死の家臣や領民たちを気持ちを利用して、神にも見捨てられた闇の軍団を創り上げるヴラド。そして生きている領民たちのために、自らの手足として戦った闇の生き物たちを自らの手で葬っていくヴラド。最愛の君主に裏切られた者たちの気持ち。最愛の家臣や領民たちを裏切ったヴラドの気持ち。復讐が復讐を産む戦乱の愚かさと、それでも復讐心にすがって生きていくしかない人々。そんな彼らの有様は、涙なしには観ることはできませんでした。
それなりにホラー描写はあるものの、何よりもエモーショナルなドラマが素晴らしい。この手の映画が苦手な人にもお勧めしてみたい映画です。
67/2014
#655
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