誰よりも狙われた男
観てすぐに驚いたのは舞台が21世紀であったこと。ジョン・ル・カレにポスト9.11を描いた小説があったとは知りませんでした。
当然のように携帯電話やパソコンが登場する今風のスパイ活動が描かれるわけですが、そこはやっぱりジョン・ル・カレ。カーチェイスも銃撃戦もない、監視に監視を重ねて相手を追い詰めていく、地味で堅実なジョン・ル・カレの世界が描かれています。
ジョン・ル・カレ原作の場合は、基本的にアクション映画的な面白さは皆無なので、面白さの中心はやはりそのリアルな人物描写による人間ドラマとなるわけですが、そのあたりは若干物足りなかったかもしれません。登場するスパイたちの職業人としての野心や葛藤、打算や醜さは十分に描かれていましたが、70年代を舞台にした作品に描かれていた、私生活面での苦悩や生きていくことへの疲れのようなものは感じられませんでした。このあたりが原作ではどうなっているのか。ぜひ原作小説を読んでみたいものです。
それでも『敵の敵はやっぱり敵』だという非情な展開とやるせないエンディングは、一風変わったスパイ映画として楽しめるものだったと思います。
そしてこれが、フィリップ・シーモア・ホフマンの最後の主演作となるようです。
63/2014
#651
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