LUCY / ルーシー
リュック・ベッソンの映画の長所。
それはハリウッド映画とは微妙に異なるテイストであり、予算の縛りゆえの、物量に頼らないユニークなアイディアだろう。そして短所は当然のことながら、どんなにアイディアを絞ったところで補いきれない、予算規模の少なさからくるスケール不足である。
本作もこの両面が顕著に表れている。
不条理な恐怖におののくスカーレット・ヨハンソンのパートと、静かに講義を行うモーガン・フリーマンのパート。前半はこの動と静を交互に配置することで、独特のリズム感を産んでいる。そしてクライマックスのSF全開の超絶描写。意味不明すれすれの時空を超えたスケール感は、通常のアクション映画ではありえない展開だろう。
そしてまた、物語が制御不能に暴走を始めても、それを映像的に表現できないもどかしさ。いくら前述の超絶描写で煙に巻いたとしても、クライマックスのアクションシーンはやはりスケール不足である。いっそのことアクション無しでもかまわないのではないかとも思うが、それはそれでジャンル的には不味いのかもしれない。
それでも本作の場合は長所が短所を大きく上回っており、とても楽しめる映画である。そして映画の完成度に大きく貢献しているのは、やはりリュック・ベッソン映画に初参加のスカーレット・ヨハンソンの存在感だろう。自らの行く末を悟ったかのように、静かに母親に電話をするシーンなどは鳥肌ものの迫力である。高いギャラを支払ったであろうだけのことはある、さすがは大スターである。
52/2014
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