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2014/07/27

GODZILLA (2014)

Gz この映画にヒーローはいない。

自然の圧倒的な脅威の前に我々人類はあまりに無力だ。じっと頭を低くして、できることといえば、ただ祈ることのみ。なす術もなく恐怖にさらされる姿が、ひたすらリアルに描かれる。地震、津波、原子力発電所の倒壊、飛行機の墜落、ビルの倒壊。確信犯的に、世界中の人々のトラウマとなっている光景が続く。理不尽に破壊の限りを尽くし、理不尽に姿を消す。そんな災厄を前に、我々は何を思えばいいのか。そこには声高な説教や教訓話はない。ただただ立ち尽くす人々の姿があるだけだ。

シナリオも、緩急つけた演出も、描きこまれた特殊撮影も、何もかもが素晴らしい。そしてその素晴らしいものを組み合わせて表現されているものは、60年前の『ゴジラ』への徹底的なリスペクトだ。アクションでもサスペンスでもない。ここにあるのは人類が災厄に対して感じる畏怖そのものだ。怪獣映画がここまで端正に、誇り高くなれるものだろうか。その完成度に感動です。

これからこの映画を観ようと思っている方へ。ぜひオリジナルの『ゴジラ』を観てから劇場に行きましょう。そうすればきっとわかるはず。渡辺謙扮する『芹沢博士』。一見なんの役にも立っていないかのような彼の役が、なぜこの映画に必要だったのか。ただ単に見守るという選択を主張する彼の姿。それこそが60年の時を超えて、『芹沢博士』の本当の想いに答えたハリウッドからの日本へ回答なのです。

46/2014

#633


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