グランド・ブダペスト・ホテル
ミニチュアやストップモーションアニメを実写にさりげなく挟み込み、どこか現実感のない寓話的な雰囲気に満ち溢れた世界を創り上げる。ウェス・アンダーソン監督の特徴が全開です。
宣伝にあるような「群像劇」や「ミステリー」を期待すると、肩透かしになると思います。そこにあるのは、ある一人の男の奇妙な半生記。作家を相手に本人自らが物語るその内容を、作家がさらに観客に物語るという、二重のモノローグ。それゆえの現実感のなさが、監督の作風とも相まって実にやわらかで独特な手触りの映画となっています。
この映画の雰囲気。わたしはどこか村上春樹の小説と同じものを感じました。たとえば『奇談』という単語の持つ、どこか怪しげで、そしてちょっとわくわくする雰囲気。過剰に訴えてくる部分はありませんが、こういう作家性を持った監督は大切にしていきたいものです。
34/2014
#621
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