それでも夜は明ける
映画創りの手際はすこぶる良い。
テンポがよく印象的なシーンが次々に繰り出されてくるのを観るのは、素直に心地よいと思える。映像も美しく、カメラワークも単調にならないように工夫されている。
ただそれが主題なので仕方がないとはいえ、延々と繰り返される虐待シーンが映画の大半を占めており、観ている方としてもだんだんとうんざりしてくるのは仕方がないところ。また史実をもとにしているだけに劇的な展開やカタルシスなどもなく、最後に主人公が救出されるとは
いえ、特にハッピーエンドの高揚感があるわけでもない。
原題にある『12年間』の長さを感じられないのも痛い。再会シーンでの家族の老けっぷりを見て観客は初めてその年月を感じるだろう。毎日生き抜くだけで大変だったのは確かだけれども、それでは劇中観客が寄り添ってきた主人公の心から、12年の間家族の存在が抜け落ちていたような印象を与えてしまうのではないだろうか。
上質だけれども面白くはない。まさにアカデミー作品賞にふさわしい映画といえるかもしれない。
17/2014
#599
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