ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅
無口で無愛想なじいさんと、口うるさいばあさん。
そんなお年寄りたちが大勢出てくるロードムービーですが、意外と居心地が悪くないのはどうしてなのでしょう。
本作の舞台となるアメリカの田舎町。きっと美しいのであろう広大な平原の風景。しかしその空がどんな色をしているのか、わたしたちにはわかりません。なぜならこの映画はモノクロだからです。どうしてカラーで見せてくれないのでしょう。
きっとそれは、映画の中の彼らに見えている色だからなのでしょう。毎日代わり映えがしないし、代えるだけの気力も残っていない。同じような日々を同じように過ごして、いつの間にか終わりが見えてくる。きっとそんな毎日の中では、空の色など気にすることもないのでしょう。そしてそれは、多かれ少なかれ映画を観るわたしたちの暮らしでもあります。昨日の空の色を覚えているでしょうか。空がグレーだったとしても、気が付かなかったのではないでしょうか。
この映画は最後までモノクロのままです。旅が終わっても、主人公たちの暮らしは何も変わっていません。じいさんは無口なまま、ばあさんは相変わらず口うるさいままです。それでもあの時、故郷の目抜き通りをトラックで走り抜けたあの一瞬、主人公はそこに鮮やかな色彩を見ていたのかもしれません。
15/2014
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