ラッシュ/プライドと友情
『プライドと友情』というチープな邦題を吹き飛ばすかのように、そこに渦巻いているのは凄まじいまでの執念だ。
一番早い車に乗って、誰よりも上手に運転しなければ勝てない。そのためにはあらゆる代価を支払い、あらゆるものを犠牲にする。そんなとてつもなくシビアなF1パイロットの世界が、正にこの映画の中には存在している。
ラウダとハントのドラマが主題なだけに、細かなレースの展開を追っていくような映画ではないけれども、『20%のリスク』を背負って走り続ける彼らの物語が圧倒的な臨場感で迫ってくる。嫌いなわけではない。憎んでいるわけでもない。ただ自分より速い存在が許せないだけ。そんな彼らの強烈な生き様こそが、F1の最大の魅力なのだ。
ハリウッド随一の『生真面目監督』、ロン・ハワードが手がけているだけにその映像にも手抜きはない。美しく、そして残酷な世界が見事に再現されている。クライマックスの雷鳴轟く富士スピードウェイ。降り注ぐ冷たい雨。何て幽玄で美しいシーンなのだろう。
叙情的な映像で描かれた、決して並び立つことのない二人の男の物語。
F1好きの人には必見の映画でしょう。
10/2014
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