エンダーのゲーム
1980年代に出版された名作SF小説『エンダーのゲーム』。
「エンダーの家系(というより兄弟)に、なぜか地球の運命を左右するような傑物が続出する」という根本的な設定が不自然きわまりなく、また明確な説明もないためにその世界観の基盤はかなり脆弱です。ただそんなことを忘れさせてしまうほどの執拗な訓練描写と、最後の圧倒的な一発オチのインパクトが、この小説を名作たらしめていたのだと思います。
しかし映画というものには上映時間という制限があります。繰り返し繰り返し描かれる訓練描写。その積み重ねの果てにあってこそのあのオチだったわけですが、映画ではそこだけに時間を割くわけにはいきません。ゆえに訓練はとんとん拍子に効果をあげ、エンダーはみるみる昇進し、そしてオチのインパクトは低減してしまいました。
映画自体はとても真面目に創られています。原作を尊重し、限られた上映時間の中におさまるように巧みに構成された脚本。美しい特殊撮影。ベテランから若手まで、出演者の演技も優れています。映画向きの素材ではなかったとしか言い様がない。力作なだけに残念な結果だったと思います。
4/2014
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