悪の法則
『ノーカントリー』の原作者が映画脚本初挑戦。
物語としての起承転結を重視せず、犯罪者を通じて人の中にある『悪』の本質を描こうとするその内容は、アカデミー賞を受賞した『ノーカントリー』と同様です。だから犯罪映画としてみるとかなりの異色作です。物語上あるべきクライマックスがなく、主要な登場人物があっさりと死んでいく。描かれているのは犯罪の物語ではなく、あくまでも犯罪者の中にある『悪』なのだ。
それはそれでよいと思うのだけれども、問題はその描き方なのだ。
饒舌なまでに自らの悪の哲学を語りまくる登場人物たち。その様は自己陶酔的で説教じみていて、だんだん鼻についてくる。ひたすらセリフでその哲学を語らせようとするのは、小説ならともかく、映画においては工夫が無さすぎるのではないだろうか。映画なのだから、セリフだけではなく、目に見える何か、耳に聞こえる何かも駆使して『悪』を感じさせて欲しかった。
そんな映画であるからして、『映像の魔術師』リドリー・スコットの持ち味は全く生かせず。リドリー・スコットが監督する意義は全く感じられず。いつも楽しみなリドリー・スコットの新作がこれでは本当に残念だ。
こういう映画があってもいいが、もっと別の監督でいいじゃないか。
92/2013
#572
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