スティーブ・ジョブズ
エンジニアでもない。デザイナーでもない。
彼が提示するのはコンセプト。そのコンセプトを強引な手腕で実現していったのがジョブズだったのだと思う。この映画では彼が周囲の親切や友情を踏みにじりながら自己のビジョンを実現していく様をたっぷりと描いている。そしてそこには、彼の実績は描かれているけれども、一人の人間としてのジョブズの姿は描かれていない。仕事上の葛藤は描かれているけれども、それは人間としての葛藤ではない。
死を目前にして、彼は自らの生き方をどう『評価』したのか?
個人的にはそのあたりに一番関心があったのだけれども、結局この映画はそのような関心には応えてくれない。亡くなってから日が浅いのはわかるけれども、それにしてもジョブズという人間に対する踏み込みが不足してはいないだろうか。
70年代の描写がとても良かっただけに、結局は単なる再現ドラマの域を出ていない仕上がりとなってしまったのがとても残念。
89/2013
#568
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