四十九日のレシピ
主人公の母が急死した直後から始まるこの映画。独特なのは、回想シーンで描かれる故人の姿のほとんどが、主人公が子どもだった数十年前の姿に限られていることです。
だから観客には、晩年の故人がどんな人だったのかが直接わからないのです。数十年前の姿と、現在の家族や友人たちの思い出話を中心に、故人の人物像を観客に少しずつ植え付けていくそのプロセスが絶妙です。
人が生きていくっていうのは、単純なことであり、そして大変なことである。
ただ生きていくだけでいいはずなのに、それでも人は迷ってしまう。
この映画はいろいろ良いことを投げかけてくる映画です。重いテーマもあるけれど、基本は前向きで明るい作風です。
それだけに、ラストの主人公の選択だけがとても異物感を感じさせます。
そこだけが黒いシミのように。
あの選択が主人公のためになるものであったことを、祈りたいですね。
90/2013
#569
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