人類資金
M資金をめぐるポリティカル・サスペンスを期待すると、期待が外れまくる展開の映画です。
10兆円で世界を変える。でも、まさかあんなことに使うとは誰も思いませんよね。そこにある、ものすごく壮大で、そして青臭い感傷。そうなんです。『亡国のイージズ』『終戦のローレライ』そして『機動戦士ガンダム・ユニコーン』。この映画はこれらの作品に連なる、正統の福井晴敏ワールドなのです。
責任を取れない世代と、そんな彼らが創り上げた歪んだ世界を引き継ぐ世代。世代間の戦いではあっても、例えば全共闘世代のような暴力的な怒りはそこにはない。そこに描かれる新世代は怒っていてもあくまでもジェントルで、ひ弱で『青く』て、そしてやさしいのだ。結局彼の小説のテーマはいつも同じなんです。
到底納得のいかない展開の映画になっていると思うし、その感覚が当たり前だと思います。多くの人が満足できない映画であることは間違いないでしょう。でも小説家福井晴敏と同年代であるわたしの中のどこかには、そんな彼の『青さ』に共感する部分があるのも間違いのないところ。
常に一本芯が通っているという意味では、興味深い小説家です。仕方ないので『人類資金』全7巻も買いましょう(笑)
86/2013
#565
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