そして父になる
産院で起こった赤ちゃんの取り違え。
この映画は6年後に明らかとなったその事件の顛末と、巻き込まれた二組の家族の葛藤を描いているのですが、ここに起承転結のあるドラマ性を期待すると肩すかしを食うかもしれません。血をとるのか時間をとるのか。二人の子どもを前にして、きっちりとした結論がでるはずもないのですから、ある意味それは当然のことでしょう。
この映画が浮き彫りにしていくのは、男と女。父と母の根源的な違いです。
母は本質的に母なのです。自らが産みだした子どもにとっては当然のこと、そうでない子どもにとっても、実際に育てるのは母なのです。
しかし父は違います。子どもの父は、母にしか判断はできません。父という存在は、婚姻という制度や周囲の状況から、認識として与えられるだけなのです。
だから父は、自らが父になろうとしなければ、父にはなれないのです。母と一緒に育てることでしか、父にはなれないのです。
生活感に乏しい福山雅治に父親役とはどうなのだろうと思っていたけれども、本作の父親になれないダメ男には正にはまり役。見事なキャスティングだったと思います。
77/2013
#556
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