ワールド・ウォーZ
『恐怖』というものは、基本的に個人的な感情である。
だから多くの恐怖映画は、個人の目を通して、その個人が感じる恐怖を描写していくのが一般的である。この映画の原作小説は、ゾンビが人間を襲うという出来事を、恐怖体験ではなく地球を襲った災害として、個人の恐怖感情を極力排したマクロな視点で描いていた点に独特の面白さがあった。
そのままでは映画にならないのでブラッド・ピットという主人公を立て、彼とその家族を中心にドラマを組み立ててはいるが、既存の恐怖映画的直接描写を最低限に抑え、個人の恐怖からは一歩離れて、種族としての人類が滅びていく恐怖を感じさせようという製作意図は、原作の持ち味を生かすという意味でも成功していたと思う。
軍団を軍団で迎え撃つ、壮大なシーンが皆無だったのは残念だったけれども、それは早くもアナウンスされている続編のお楽しみとしておきましょう。
ゴア・グロ描写に頼らなくても、恐ろしい映画は創れる。G指定が誇らしい、ゾンビ映画の佳作です。
62/2013
#540
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