トゥ・ザ・ワンダー
テレンス・マリック監督。とても首尾一貫した監督である。
前作『ツリー・オブ・ライフ』とは全く趣の異なる映画だけれども、結局のところその内容は同じだ。
『内なる声』『内なる神』そして『内なる敵』
この映画の登場人物間の会話は、ほとんど観客には伝えられない。観客が向き合うのは、たくさんのモノローグである。たくさんの疑問、後悔、混乱、そして祈り。
この映画は愛憎の物語だ。愛が苦しみであり、そして愛が希望である。
とても宗教的ではあるけれど、そこにある葛藤は、宗教の枠を超えた普遍性がある。
どんなに求めても、求めるものは得られない。得ることではなくて、求めることが重要なのか。
ここで描かれている愛憎は、結局のところ監督が『彼』に対して抱く愛憎なのだ。
とても独りよがりだし、人によっては多分退屈すれすれの映画であろう。でも、その欠点を補ってあまりあるのが、細心の注意で創り上げられた壮大な映像美と音楽、音響の素晴らしさだ。映像体験としては超一級である。
映画館の大画面、大音響の中で、この監督の自問自答に浸ってみるのも一興である。
65/2013
#543
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