ラストスタンド
当たり役が人間型サイボーグだったことが象徴するように、ハリソン・フォードやブルース・ウィリス、シルベスタ・スタローンなど同世代のアクションスターと比較してみると、シュワルツェネッガーの演技は表情に乏しく、人間味にかけるものだったと思う。
しかし『老い』は人間を変える。悪い方向だけではなく、よい方向にも。65歳となった本作のシュワルツェネッガーを見ると、彼がかつて持たなかった『武器』を手に入れたのがわかる。
鈍い動きや疲れた表情。今まで見ることの出来なかった、そんな等身大の彼の姿は意外なことに魅力的だ。だから彼が演じる老保安官の心情が説得力を持つ。子どものような若い同僚に対する愛情、無法な悪人に対する怒り、自らの仕事に対する誇り。そんな一つ一つが映画の魅力をかさ上げしていく。
映画のストーリーはシンプルでありながら気が利いている。脇役から悪役に至るまで、味のある俳優がしっかりサポートする中、シュワルツェネッガーの存在を十分に楽しめる。10年ぶりの主演復帰作としては最高の出来映えだろう。この調子なら、まだまだいろいろな役柄で楽しませてもらえそうだ。
「歳をとるのも悪くない」
何よりも、そんな風に感じさせてくれるところが素晴らしいではありませんか。
35/2013
#513
| 固定リンク
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- マグニフィセント・セブン(2017.02.18)
- ザ・コンサルタント(2017.01.28)
- 本能寺ホテル(2017.01.23)
- アンダーワールド ブラッド・ウォーズ(2017.01.09)
- Year 2016(2016.12.30)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント