ハッシュパピー ~バスタブ島の少女~
主人公は6歳の少女。この映画は徹底的に少女の目線で描かれる。
ローアングル。狭い視野角。揺れ動くフレーム。雑然としていて、鮮烈で、そしてグロテスクでもある自然や風景、彼女の生活。
ハンディ・カメラで撮影されたそれらの映像は、6歳の少女が把握している周囲の世界を、大人の目で脚色することなく、素材として並べ上げているように思える。
だからそこには「評価」はない。家があり、父がいて、食事があるだけだ。
でも、観ている観客はそうではない。なぜ彼女はこんな暮らしをしているのか。父親は保護者としての努めを果たしているのか。これは児童虐待ではないのか。
しかしそんな観客の評価に、この映画は回答を与えない。6歳の視点で描かれた映画。6歳には自分の世界を評価できないのだから。
決して居心地のいい映画ではないけれども、それはそれでいいのだと思う。
でもそう考えると、全体を貫くファンタジー映画としての演出が余計に思える。
それはこの映画に物語性を与えようとするものだ。でもそれはこの映画のあり方と矛盾する。物語というものは、主人公の世界に何らかの評価を与えないと成り立たないように思えるからだ。
30/2013
#508
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