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2013/03/17

クラウド アトラス

T0010950p 3時間近い長編映画だけれども、物語は6つのパートに分かれている。感覚的には30分×6本であり、それほど長さを感じさせない。

1849年。1936年。1973年。2012年。2144年。そして『崩壊後』の遙かな未来。
6つの時代の6つの物語は、数分ごとに順不同で切り替えられながら進んでいく。
こう説明するとかなり難解な映画を想像するかもしれないが、各物語は基本的に独立しており相互に関連・干渉しているわけではない。それゆえ伏線が複雑に張り巡らされているわけでもなく、その構成の難解さの割りには物語はわかりやすい。

このような構成の映画だと、どうしても物語相互の関連による『仕掛け』を期待してしまう人も多いだろう。そういう意味では、やや物足りなさも感じる。ただ、この映画があえてそうした『仕掛け』を盛り込まなかったのは、この物語の『輪廻転生』というものに対する考え方によるものだと思う。

日本で『輪廻転生』というと、どうしても『因果応報』と結びついてしまうのではないだろうか。
現世での善行や悪行は、来世に影響を与えていく。善行は幸せに悪行は報いに。その考え方の根底には『戒め』としての役割があるような気がする。
この映画の『輪廻転生』はすこし違う。それは『つながり』として表現されている。

人が生涯を通じて求め続ける自由や愛。しかし人の命は短く、大切なものはすぐに失われてしまう。それでも人はつながっていく。いつまでも追い求めていく。相互に関係を変えながら、男女や善悪という垣根をも超えながら。
だから『死』は終わりではない、それは次への『扉』。ここでの『輪廻転生』は、ある種の『慰め』として機能している。
だからこの映画からにじみ出てくるものは、人という存在へのやさしさなのだ。

この映画で何よりも素晴らしいのは、それぞれの時代で一人四役から六役をこなす主演俳優たちだ。転生する物語の主人公と共に、時代を超え善悪を超え、時には性別も人種も超えて転生する彼らの姿は映画的なスペクタクルそのもの。エンドタイトルでの『カーテンコール』に拍手喝采。
アクションでもファンタジーでもない。本当のSFの素晴らしさを感じました。

22/2013

#500

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