ジャンゴ 繋がれざる者
タランティーノ監督の『らしさ』というものに、ずっと否定的だったし、これからもずっとそうだと思う。
わたしにとってそれは映画の流れを阻害するもの。映画の娯楽性を低下させる邪魔物でしかない。
彼の映画がミニシアターで単館ロードショーされるような映画ならそれでもいいだろう。でも彼の映画はそうではない。明らかに『アクション映画』というジャンル分類される映画として大規模に宣伝され、それを期待した多くの観客に対して公開される。そうであるならば、自分の『らしさ』と、観客が期待する一般的な娯楽性とのバランスをもう少し考えるべきだと、ずっと思ってきた。
マカロニ・ウエスタン的なアクション映画でありながら上映時間が2時間30分を超える本作も、だから全く期待していなかった。どうせいつもの、ひとりよがりな冗長さに埋め尽くされた映画に違いないと思っていたからだ。
そして、驚くべき事にその予想は大きくはずれた。
確かに長いが、それはドラマの語り口がゆっくりであるためで、決して無駄なシーンが垂れ流されているからではない。全てのシーンや会話に、ちゃんと物語や登場人物を表現する上での役割が感じられる。
そう、普通の映画になったのです。
そうなってみれば、彼の映画のよい部分が生きてきます。リアルなのではなく、映画的な『嘘』が強調されたケレン味たっぷりなその世界。ダイナミックな演出。印象的な音楽。あくの強いキャラクター。
『らしさ』が弱くなったのは、ファンには残念なことかもしれませんが、映画としての完成度は格段に上がっていると思います。
これは成長なのか。それとも気まぐれなのか。
どちらにしても、これからもこのまま行ってほしいものです。
20/2013
#498
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