最強のふたり
首から下が麻痺した主人公の物語ゆえ、その根底には常に絶望がある。
それなのに、まるでコメディーであるかのように、全編ほとんど笑いっぱなし。ブラック・ジョークや下ネタ中心の笑いでありながら、なぜか下品にならないのはフランスというお国柄なのか。ひたすら笑って笑って、そしてふと気がつく。絶望的な主人公の生活描写のなかに、半ば強制的にもたらされる笑い。なぜこの映画は、こんなにも笑いに満ちあふれている必要があったのだろう。
人が生きていくその根底には、常に死があり、不安があり、絶望がある。
それでもどうして、ささやかな楽しみがあるのだろう。
それどもどうして、小さな笑いがあるのだろう。
笑いは不安をぬぐい去ることはできないけれども、それでも両者は共存できる。
共存することで、絶望は少しその鋭さを失い、楽しさは少しその輝きを増す。
主演の二人がとてもよいのだけれど、特にスラムの黒人青年役のオマール・シーが素晴らしい。彼がいつか、エディー・マーフィーやウイル・スミスみたいなスターになったとしても、全く驚かない。
55/2012
#451
| 固定リンク
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- マグニフィセント・セブン(2017.02.18)
- ザ・コンサルタント(2017.01.28)
- 本能寺ホテル(2017.01.23)
- アンダーワールド ブラッド・ウォーズ(2017.01.09)
- Year 2016(2016.12.30)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント