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2012/09/09

夢売るふたり

Drmこの映画は、さながらサダヲの『地獄巡り』である。

本来だます側のサダヲが、さまざまな女性の孤独や闇や、特に妻である松たか子の心に巣食う何かにおびえながらも、ひたすら先に進み続ける物語である。

どんな人の心の中にも昏い部分はあるし、その闇の中には怪物がひっそりと息づいている。
ほとんどの人の怪物は、動き始めることもなく成長することもなく、そのまま息絶えるのだろうけれども、この映画の松たか子のように、ふとしたきっかけでそれが育ち始めてしまうこともある。

だまされる側の描写があっさりとしているため、全体としてやや緊張感に欠ける印象となってしまったのがやや残念なところ。
往年の桐野夏生の小説のような女性心理サスペンス(もしくはホラー)を狙ったのだとすれば、そのエンディングの方向性もあって、少し恐怖とカタルシスが不足していたかもしれません。

けれども、それを補うべく熱演する、静かに変貌していく松たか子が圧巻です。その黒々とした瞳の中で育っていく怪物。その怪物に食い破られそうになってしまうおののき。
少なくともそんな彼女の演技を楽しむだけでも、この映画を観る価値はあると思います。

56/2012

#452

 

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» 映画「夢売るふたり」感想 [タナウツネット雑記ブログ]
映画「夢売るふたり」観に行ってきました。 結婚詐欺をテーマに男女間の複雑な心情や葛藤などを描いた、阿部サダヲと松たか子の2人が夫婦として主演を担う人間ドラマ作品。 作中では「本番」さながらのセックスシーンが3回ほど出てくることもあり、今作は当然のことながらR-15指定されています。 作中で披露される... [続きを読む]

受信: 2012/09/12 19:34

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