トータル・リコール

リメイクとはいいながら、かなり大幅にアレンジが加えられているようです。

まずは、その世界観がかなり秀逸です。特に物語設定の核となっている『リフト』と呼ばれる大陸間エレベーターとでもいった乗り物がよいです。クライマックスのアクションシーンの舞台としてその乗り物の特質がちゃんと生かされていて、なかなかよいアイディアだったと思いました。全体として、SFアクション映画として十分に楽しめる水準以上の映画だったと思います。ほとんど期待していなかったので、うれしい誤算でありました。

そして、なんといってもこの映画で最高なのはキャスティングではないでしょうか。
シュワルツェネッガーよりも、よく言えば優男、悪く言えば頼りないコリン・ファレルは、巻き込まれ主人公にぴったり。そしてなによりも素晴らしいのは、その両脇を固めるケイト・ベッキンセールとジェシカ・ビール。二人のタフな女性たちでしょう。
特にケイト・ベッキンセールの映画史上に残るであろう『鬼嫁』ぶりが、あれだけの美人なだけに鬼気迫る印象深さです。監督が実の夫であるだけに「なにもそこまで…」と思わないでもありませんでしたが、見終わってみるとケイトが一番記憶に残っていると言うことは、妻に一番『おいしい役』を割り当てたと言えるかもしれませんね。
謎めいた組織の黒幕として、後半にしれっと出てくるビル・ナイも相変わらずの格好よさでありました。

あまり注目度の高い映画ではなかったかもしれませんが（今年の夏のラインナップでは仕方ありません）、きっちり楽しませてくれるところは、さすがワイズマンといったところでしょうか。

51/2012

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