おおかみこどもの雨と雪
人狼という大きな『嘘』を物語の中心に組み込んでいるけれども、それ以外の部分はとても平凡で、とてもありふれている。
それは子を持つ親の、ごく当たり前で自然な感情だ。
緻密に描き混まれた日用品や日常の風景、見慣れた自動車や景色が、その物語が特殊なものではないことを主張している。
初めての子どもが産まれたときの、両親の会話が忘れられない。
優しい子になるといいな。
幸せになるといいな。
苦労はさせたくないな。
ささやかだけれども、心からの、心からの願い。
そして子どもたちは、あっというまに親のもとを離れていく。
まだ何もしてあげられていないのに。
もっともっと、たくさん面倒を見てあげたいのに。
親はいつまでも親で、子はいつまでも子で。
あたりまえだけれども、とてもありがたいこと。
奇しくも同時公開の『メリダ』と同様に、こちらも母親の物語。
ピクサーにかなうほどのアニメは滅多にないけれども、今回はこっちの圧勝。
世界中の親たちの心の中にあるありふれた、でもとても美しくて、とてもありがたいもの。
身近にあるのに見失いがちなものに、この映画は気がつかせてくれる。
49/2012
#445
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