一枚のめぐり逢い
一枚の写真を手がかりに、一人の女性の元にたどり着く。
実際はとても大変な事だと思うのですが、この映画では、あっという間にたどり着きます。物語の重点を二人の恋愛に絞り込んでしまおうという意図なのだと思いますが、どうしてもその数奇な運命の重みが感じられません。
それはそれとして、本当の事をいえないままどんどん関わりが深くなっていってしまう二人のドラマは、漂う先行きの不安感と相まって悪くはありません。登場人物それぞれが様々な問題を抱えつつも、基本的に悪人がいない。悪人がいないのにみんなが幸せにはなれない。クライマックスに近づくにしたがって、そんな切なさが高まります。
しかしですよ。
最後に一人の命を奪って話に決着をつけること。それ自体はドラマのパターンとしてありふれたものかもしれません。でもこの物語は、各人それぞれが克服すべきものは克服して、たとえつらいものであっても共存する道を模索する姿を描くべき物語だったのではないでしょうか。
一番邪魔なキャラクターを『消して』ハッピーエンド。この物語で命を落とすのは、冒頭の兄だけでよかったはずです。安易なオチを選んだ結果として、なんとも安っぽいストーリーに落ち着いてしまったのが残念な映画です。
44/2012
#440
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