バトルシップ
『トップ・ガン』+『宇宙戦艦ヤマト』 in 『アンダー・ザ・ドーム』
既存の色々なもののエッセンスを取り入れつつ、とても上手くまとめ上げられています。
まず根底にある物語が、SFアクションというよりも軍隊を舞台とした青春ドラマであるというのが面白い。主人公である青年の挫折と成長の物語。ありきたりでありながらも、普遍的な魅力を持っています。
この映画は、序盤にしっかりと時間を取って主人公達の人間模様を描いています。これが中盤以降に利いてくるのですよね。
ヒーローではない、弱さを持った普通の人々が、力を合わせて困難を乗り越えていく。極々普通でありながらも、上手につくれば必ず盛り上がる展開。それをこの映画は、とても上手に、さわやかな感動物語として創り上げたわけです。登場人物全体に、悪い人間、イヤな人間が出てこないのも、物語のさわやかさを増しています。
悪い人間がいないといえば、この映画の『エイリアン』も独特です。
宇宙人侵略映画史上、たぶん最も人類に近いエイリアン。その攻撃には意図があり、決して無差別に人類を殺傷したりはしないのです。だから悪役ではありながらも印象は悪くない。よって残虐な殺戮シーンなども皆無なのです。この映画での人類とエイリアンの戦いは、軍隊同士の戦争にとても近い描かれ方をしています。このあたりも『軍隊青春ドラマ』という設定と巧みに整合性を取っているわけです。
そしてなんといっても、『戦艦』です。
アメリカ海軍最後の戦艦、ミズーリ。退役し、記念艦として保存されているミズーリが、観客の予想通り、クライマックスで大活躍。
これは、熱いです。『宇宙戦艦ヤマト』で育った日本人には、とてもよくわかります。三連×三門、全主砲一斉射撃。大興奮です。
21世紀の海軍の若い兵士たちは、蒸気機関の使い方もわかりませんし、手動での照準の合わせ方も知りません。そんな彼らを助けるために駆けつけてきた老人たち。海軍を退役したおじいさんたちです。
これはもう、海軍魂ですよ。はっきりいって、涙がでました。わかりやすくて、そして力強い感動。いいなぁ、こういう映画って。
映像もリッチで美しい。戦艦も、駆逐艦も、艦載機も。青い海も、ハワイの自然も。エイリアンの超兵器も。どれも見ていて幸せになる心地よさ。
『ユニバーサル映画100周年記念作品』と大々的に宣伝されながらも、なんだか既視感漂う予告編。よくて『トランスフォーマー』の二番煎じ、悪くすると『世界侵略:ロサンゼルス決戦』。そんな風に思っていたし、そう思っている人も多いと思います。
どうぞ、安心して見てください。
『ハンコック』も面白かったけれど、やっぱりやります、ピーター・バーグ監督。
これからも応援します、がんばってくださいね。
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