ヒューゴの不思議な発明
描きたいテーマはよくわかるのです。
映画創成期へのノスタルジー。映画を『保存』することの困難さ、大切さ。
そして、人にとっての映画の『役割』とはなんなのか。
そんな内容が、レトロで美しい映像で描かれます。
テーマはとてもよく伝わってきます。
しかしそれら全体をひとつのドラマとして観ると、なんだか上手く機能していないような気がします。
キャラクターなども、それぞれ役割分担がされているのはよくわかります。『笑うところ』も『泣くところ』も、しっかりと伝わります。このあたりはとても手際よく、整理して提示されていたように思います。でも、そのポイントがわかっても気分がついて行かないのです。
それはきっと、キャラクターに『厚み』が足りないからなのかもしれません。
どんな人か。どんな過去があるのか。なにを考えているのか。
ただそれを理解しただけでは、その人と一緒に泣いたり笑ったり、簡単にできるものではないのかもしれません。
観客は映画の中で、初めて出会った登場人物と知り合い、共感し、同情し、時には反感を覚え、少しずつ一緒に笑ったり、一緒に怒ったり、涙を流したり。
現実と同じで、少しずつつき合いを深めていきながら、その人の存在が、自分の中で『大きく』なっていくのではないでしょうか。
テーマに対する気合いの入れ方と比べて、このあたり、とてもおざなりに感じました。
力をいれるところはすごく入れているのに、全体としてみるとなんだかいびつ。
細部は最高なのに、トータルで凡庸。
わたしがマーティン・スコセッシ監督の映画を観て感じることは、なんだかいつも同じです。
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