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2012/02/11

ドラゴン・タトゥーの女

Dt原作小説は、いかにも小説的な面白さが満載の作品で、その分量ともあいまってどうにも映像化は難しい印象がある。

だからその小説的な枝葉を切り取り、ハリエット失踪事件のみを駆け足でなぞって映画化した本作は、原作小説の面白さを表現できたかといえば、明らかに出来ていなかったと思う。

ただし、当然のことながら映画は小説ではない。
一本の映画として観たならば、この作品は素晴らしい第一級のサスペンス映画だった。その映画としての面白さは、とても小説で表現できるものではなかった。
小説の面白さと映画の面白さは全く別物だ。そんなことを強く感じさせる。さすがはデヴィッド・フィンチャーだ。

『ベンジャミン・バトン』のような美しい映像と、『ソーシャル・ネットワーク』のようなスピード感。フィンチャーは、ケレン味に頼ることのない近年の自身のスタイルで、映像、音響、編集、映画の持てる全ての要素を駆使して重苦しいサスペンスを盛り上げる。枝葉を切り取ったとはいえ上映時間は2時間半を超えるが、その長さを一切感じさせないテンションの持続力は素晴らしい。

スウェーデン版の映画が、なるべく枝葉を残して小説の構造を維持しようとしていたのと比べると、小説の再現度でいえば明らかに劣るフィンチャー版。でも、映画としての完成度でいえば、フィンチャー版の圧勝だ。

また、タイトルから『ミレニアム』が抜けたことに象徴されるように、ミカエル~ミレニアム回りのエピソードをかなり削り、『ドラゴン・タトゥーの女』を中心に脚色したのも正解だったかもしれない。印象的な脇役からミカエルと並ぶ主役へ。もし第2部以降がつくられるのだとすれば、第1部におけるこのバランス変更は、後々かなり利いてくるはず。

目と耳で楽しむ映画の魅力を知り尽くした男。
まだまだこれからしばらくの間は、フィンチャーは最も注目すべき最重要監督かもしれない。

11/100

#408

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