マイウェイ 12,000キロの真実
戦争映画であるけれども、その戦闘シーンは高揚感とは無縁だ。
削岩機のように、ひたすら人間を粉砕するだけのその戦場のありさまは、ただただ陰鬱で愚かしい。その当事者の片方が日本軍であるだけに、私たち日本人にはなおさらだ。様々な民族の様々な愚行をひたすら鑑賞していくのがこの映画です。
中国大陸で人々を虐げていた日本人が、次はソビエトに虐げられる側に回る。ナチスはソビエトの血を流し、ナチスはノルマンディーで海を赤く染める。
流転するこの物語は信念を持って生きることの大切さと難しさ、そして信念を踏みにじって人を支配しようとすることの恐ろしさを伝えてくる。
『プライベート・ライアン』を大いにお手本・目標にしたところはあるけれど、ここまで近づけているところに韓国映画の凄さを実感しました。これはパクリや二番煎じという次元ではないと思います。美しく壮絶なその映像美。日本映画がこのレベルに到達するのは、まだまだ先のことでしょうか。
『狂』のオダギリジョーと『静』のチャン・ドンゴンも実に好演。どんなにつらいときでも、ひたすら走り続けるチャン・ドンゴンの姿が胸を打ちます。
ただ好きなだけ走っていられるような世の中が、なぜ彼らに訪れなかったのでしょうか。
いつの世の中も、きっと不安はなくなりません。
でも、少なくても今は、自由と安全があります。
現在の自分たちが恵まれていることが、とてもよくわかる映画です。
3/100
#400
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