デビルズ・ダブル -ある影武者の物語-
『影武者』の特徴、それは文字通り『影』の存在になってしまうことだろう。
元の本人は死んだことにされるなど、世界から消滅してしまう。そして『影武者』は、通常公式にはその存在を否定される。いることがわかっていたら『影武者』にならないからだ。
一個人としても、職業上の存在としても、一切その存在を否定されてしまう。そんな絶望的に孤独な存在が『影武者』だ。
その点、この映画で描かれているウダイ・フセインの影武者の物語は、そのような孤独感とは無縁なのが面白い。影武者でありながら、本人と一緒に飲み歩いたりしており、どちらかというと『お友達』に近い。周辺のかなりの人々が影武者としての存在を知っており、それゆえ物語としてのテンションは自ずと低くなる。
ストーリーとしてもあまり面白味がない。ウダイの悪行も色々と描かれるけれども、どうにも『子悪党』的で最後の造反もあまり盛り上がらない。『悪』としての描き方がちょっと弱いような気がします。父親のサダムの方は、さすがに怖かったです。
ウダイと影武者の一人二役を演じた、主演のドミニク・クーパーはすごかったですね。二人の外見は当然似ているという設定なわけですが、外見ではない、その魂の違いを的確に演じ分けられているところが素晴らしいと思いました。
このような一人二役映画が成立するのも、特撮技術の進歩によるものですね。
4/100
#401
| 固定リンク
「映画・テレビ」カテゴリの記事
- マグニフィセント・セブン(2017.02.18)
- ザ・コンサルタント(2017.01.28)
- 本能寺ホテル(2017.01.23)
- アンダーワールド ブラッド・ウォーズ(2017.01.09)
- Year 2016(2016.12.30)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント