Year 2011
映画は芸術であり、たくさんのお金がかかったビジネスであり、多くの人にとっては気晴らしの娯楽であり、場合によっては単なる時間つぶしかもしれない。
映画は映画館に行けば、いつでもやっている。所定の料金を支払えば誰でも観ることができる。そこにあることさえも意識しないほどの、ありふれた身近な存在だ。
でも、そうじゃなかった。
映画館がそこで営業していて、時間通りに映画が上映されること。
そして私たち観客が、無事に元気で映画館に行くことができること。
この二つの偶然が重なって、初めて人は映画を観ることができるのです。どちらかが欠けてしまえば、もう映画は観られないのです。
そしていとも簡単に、それらは欠けてしまうのです。
そのことが、今年はとてもよくわかりました。
今年も、たくさんの映画を観ることができました。
それはたくさんの幸運に、わたしが恵まれたからです。
面白い映画も、あまり面白くない映画も。いろいろな映画がありました。
でもたくさんの映画を観ても、「観なければ良かった」と思う映画は、不思議なことにほとんどないものです。
それは、どんな映画にも良いところがあるからです。どんな映画にも、作り手が『見せたい』と思った『見所』があるからです。
その映画を観なければ考えなかったことを考えるきっかけになったり。
その映画を観なければ感じなかったであろう感覚が呼び起こされたり。
映画館の暗闇の中で、私たちはたくさんの得難い作用を受けるのです。
My Favorite 2011
映画の良心だと思います。
映画が映画として普通に面白いという、当たり前のようでいてなかなかできないポイントを完璧にクリアしています。
2 SUPER8/スーパー8
自分にとって、これは映画的故郷の原風景です。
ノスタルジックすぎるかも知れませんが、これを嫌いになることなどできるわけがありません。
3 X-MEN:ファースト・ジェネレーション
今まで観たアメコミものの中で最高峰。
製作者のキャラクターへの愛情がそのまま映画の完成度に直結。作り手の愛は必ず観客に通じるのです。
4 英国王のスピーチ
俳優も題材も。全てがMade In UK。
英国文化の魅力が満載です。哀しみや苦しみをオブラートのように包み込むウイットが素晴らしい。こんな風に、生きていけたらいいな。
5 ミスター・ノーバディ
「とどまれない」という人間の宿命を、奇抜なSFという題材の中で感動的に描きました。
止められるものなら、時を止めてあげたかった。
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