指輪をはめたい
Three Of A Perfect Pair
「優柔不断なモラトリアム青年が、さまざまな相手との恋愛を通して成長する」
かなり『モテキ』とかぶるような設定の映画です。
ところがこの映画の方がもう少し深い。思い出せない自分の過去からにじみ出す不吉な予感。そして単なる『成長』のもう一つ先まで、話しは踏み込む。
「いずれは消えてしまう痛みなのだから、今はそれを味わおう」
誰もが痛みを感じながら生きている。そして痛みを感じながら生きている人ならば、この映画が提示する重みが理解できるのではないだろうか。
ところが驚くべき事に、この映画の原作小説にはこの『重み』部分がまったく存在していない。描かれているのはせいぜいが『成長』止まり。登場人物の設定も全く異なり、かつ、登場人物に魅力がない。あの魅力的な三人の婚約者候補の姿も、痛みの描写も、全てが映画のオリジナルだったのです。
なんという素晴らしい脚色力でしょうか。というか、ほとんどオリジナル脚本です。
面白い小説が平凡な映画になってしまうことはよくありますが、平凡な小説が面白い映画になることは非常にまれです。それはそうでしょう。普通はわざわざ平凡な小説を映画にしようとは思わないからです。どうせ映画にするなら面白い小説を選ぶのが当然です。
どうしてその優れた脚色力を発揮して、この小説を救ってあげる気になったのか。
何だか気になります。
(まぁ救われたというよりも、もし私が原作者でこの映画を観たら、きっと落ち込みますね…)
106/100
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