リアル・スティール
Metal Heart
ずっと前にこの映画の予告編を観たときに、「これはとても優れた企画だな」と思ったのを覚えている。
引退して生き方を見失ってしまったボクサーの再生の物語。
断絶してしまった親子の絆が、共通の体験を通じて甦る物語。
孤独な少年が、ふとしたきっかけでロボットとの友情を育んでいく物語。
それぞれで一本の映画を創れる(そして実際にたくさん創られてきた)ネタを三つも組み合わせている。
さらには製作はスピルバーグ&ゼメキスの『バック・トゥ・ザ・フューチャー』組。
どんなにスゴイ企画でも、なぜか上手くいかないことがあるのが映画の不思議なところだけれども、もし上手くいったら、これはおもしろい映画になりそうだという予感があった。
そして結果として、すごく上手くいったのだと思う。
さきほどの三つの要素が完璧に調和している。なにより驚いたのは、少年マックスを演じたダコタ・ゴヨだ。ただかわいく健気なだけの子役なんかではない。強情でしたたかで、そしてやさしい。ダメな父親ヒュー・ジャックマンを叱咤激励しながら物語を引っ張っていくその姿は、まったく予想していなかった驚き。本作の一番の収穫だと思います。
シナリオは気持ちよいほど予想通りの王道です。通をうならせるような技巧的なシナリオもいいですが、「こうなってほしい」という観客の願いがそのままかなうようなシナリオもいいものです。
こういう映画は、本当に観ていて幸せな気分になります。うれしくて涙がでます。目にする全てのものが、素晴らしく感動的です。
映画が楽しさや優しさや希望や勇気や、そういったポジティブなものを伝えるだけでよかった幸福な時代の幸福な映画。そんな過去の映画たちと、本作は同じ波動を伝えてくるのです。
解説も評論も不要です。いつになっても、映画の世界には、絶対にこういう映画が必要なのです。
今年は『SUPER8』だけで十分満足だと思っていたけれど。まさかもう一本、それをさらに上回る幸せが。ほんとうに、心が震える。ありがとう。
111/100
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投稿: 日本インターネット映画大賞 | 2011/12/24 11:25