聯合艦隊司令長官 山本五十六 -太平洋戦争70年目の真実-
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日本人は「戦闘に強く戦争に弱い」といわれるけれども、この映画で描かれていることも全く同じだ。戦争に勝てない理由は簡単だ。それは『戦略』がないからだ。『戦略』は『理』に基づいたものであり、それは『科学』である。費用と効果。何を差し出して、何を得るのか。それは計算であり、数字は時に非情である。
『職業軍人』という言葉がある。職業ということはプロフェッショナルということだ。プロフェッショナルは計算をする。どんな状況でも最適な結果を導くために、最善の一手を打つのがプロフェッショナルだ。この映画を観るとよくわかる。日本軍には、ほとんど職業軍人などいなかったのだ。
義理人情を重んじ、和を尊び、恥を嫌う。それは日本人の美徳であることは確かだ。だけれども、本来冷静に計算するべき所を『美徳』に逃げ込んでしまう。シビアな結論を避け、あいまいな感情論でごまかしてしまう。近代化は科学の力によるものだ。物質的な近代化はできても、精神的な近代化はまだまだ日本には遠いのかもしれない。
伝記としても戦記としても、この映画は微妙に中途半端な感もある。でもその言いたいことはよく伝わってくる。この映画が示す日本の滅びの道筋はとても説得力がある。それはいまの自分たちが乗っているレールだからだろうか。
CGというとSFやアクションばかりに目が行くけれども、実は歴史物にも効果は抜群だ。長門・赤城・大和・零戦。その美しいCGはどこかもの悲しい。役所広司の役者魂が大爆発。ヒットしているのがうなずける、見応えのある一本です。
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