世界侵略:ロサンゼルス決戦
End Of The World
ちょっと前に公開された『スカイライン』という映画に見かけが似ています。
見かけだけでなく、手法も似ています。『スカイライン』は『一市民』という視点から宇宙人の侵略を描きましたが、こちらは『海兵隊一小隊』の視点から宇宙人の侵略を描いています。
どちらも非常にミクロな視点から大きな事件を描いているのが特徴です。
臨場感のアップ。視点を少なくする事による製作費の削減。
いろいろな理由はあるのでしょう。
ただどちらも物語がとても単調なのがいただけません。
本作は、基本はひたすら追いまくられて逃げるだけの撤退戦。
セリフはほとんど「Move! Move! Move! Move Go! Go! Go! Go!」
合間の人間ドラマは、勇壮な音楽に乗って鬼軍曹みたいな人が軍人魂を熱く語ります。
まだ、『スカイライン』のほうがマシでした。
さらに、個人差はあるでしょうけれど見ていて『酔う』のです。
接写、手持ちカメラ、早いカット割り。アップにすれば情報量が減り、デジタル処理は減るでしょう。手持ちカメラも手軽に臨場感を稼げます。
でも、ただでさえおんなじ様な場面ばかり見せられて単調で退屈なのに、さらに気分が悪いのは困ります。
「早く終わってくれい」と思いながら観る映画なんて、めったにないものです。
見てくれは立派です。軍隊が主役だけに、その迫力は『スカイライン』の比ではありません。
ただなんというか、芸がないんですよ。
冒頭いきなり、開始0分で戦闘が始まっていることからもわかるように、ごり押しなんです。ただ見せればいいみたいな。
でもひょっとしたら、これもマーケティングの結果なのかもしれません。
昔の映画のように、少しずつ不穏な空気が高まって、いろいろな前兆が明らかになって、開始45分でやっとエイリアン登場なんていうのでは、現代の観客は飽きてしまうのかもしれません。
試写をしてアンケートを取って、この手の映画のコアターゲットでろう若者の意見を集約してみると、こういうバランスがよいうということになるのかもしれません。
音楽のアルバムも最近はそうらしいです。アルバムの冒頭からキメ曲を連ねて配置しておかないと、試聴してもらえないし買ってもらえないそうです。アルバムの『構成』なんていうものは、今はもうないのかもしれません(そもそもアルバムがシングルの寄せ集めだし)。
見てくれの派手さ、CGの緻密さや迫力。それも映画の楽しみの一つです。わたしもそういうのは好きですし、この映画の冒頭部分は確かにワクワクさせるものがありました(まだ気持ち悪くなってなかったし)。
でも、観客がそういう部分だけをあまりにクローズアップしてもてはやすようになると。そして映画が、安易にそういうものだけを見せようとしてしまったら。これからの映画はどうなってしまうのでしょうか…
なんだかそんなことを考えてしまった映画でありました。
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