ゴーストライター
English Man In New York
カーチェイスも銃撃戦も格闘シーンもないけれど、サスペンスとしては超一級品。
『異邦人』として単身不慣れなアメリカに乗り込んだイギリス人の主人公が、不可思議な事件に巻き込まれていく様を、不安感たっぷりに描いています。
この映画を観ると、最近の多くのサスペンス映画におけるスリルは、映像の派手さに頼ってしまっているのだなと実感します。
繰り出すジョークが滑りまくる主人公を演じたユアン・マクレガーのおどおどした演技がよいけれど、きっとそれだけではないのでしょう。
セリフ回しや表情。カメラアングルや編集による『間』の調整。カットが切り替わるテンポ。たぶんそういった細かいものが積み重なって、最終的にものすごい『差』になっているのではないでしょうか。
なんだか久しぶりに『洋画』らしい映画を観たような気がします。
さすがは名匠とうたわれるロマン・ポランスキー監督。
お金や最新技術を駆使した大がかりで派手なシーンをつかうことなく、録画・録音して編集するという基本的な行為の積み重ねで、最終的にこれだけ映画のレベルを上げてしまうというのは、すごい人はやっぱりすごいと恐ろしくなります。
映画を撮り始めたときから、派手なシーンを簡単につくれる環境を与えられている世代は、永遠にこのレベルに達することはないのかもしれません。
75/100
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