ツリー・オブ・ライフ
Watcher Of The Skies
「ブラッド・ピット、ショーン・ペン主演による、父と子の絆を描くヒューマン・ドラマ」
…なんてつもりで観に行くととんでもないことになりそうです。
予告編を観ると「終末SFか?」という感じなのですが、終末どころか誕生です。SFどころか哲学です。
あらゆる生態系を育む『宇宙』そのもの。そこに見え隠れする『彼』の意思。そして生きる苦しみの中での『彼』への問いかけ。
それらがカオスのように渾然一体となった、観客の予想や期待を遙かに超越する映画の登場です。
映画のタイトルそのものが、的確に映画の正体を現していたわけです。
ストーリーの起承転結。エモーショナルな感動。
そういったものをこの映画に求めることは難しいかもしれません。
でももっと大きな視点で見れば、この映画のテーマは普遍的なものであることがわかります。
変にわかろうとしなければ、ちゃんと共感できるものをもったわかりやすい映画でもあるのです。
運命を支配し、皆に感謝されるような立派な人になりたかった父。
運命を受け入れ、皆に感謝する寛容な人になりたかった母。
そしてどちらの生き方も、得るものがあり、失うものがある。
そして『彼』は結局、多くを与え、多くを奪う。
この映画で繰り返される『問いかけ』は、生きている誰もがその最期の時まで繰り返す『問いかけ』なのです。
そしてこの映画に明確な結末がないように、その『問いかけ』に明確な回答が得られることはないのです。
それでもこの映画を観ると感じます。
苦しいのは自分だけではない。
誰もが同じ想いを共有している。
ちょっと勇気がでるような、励まされるような。
混沌としているわりには、ちょっとあたたかい気持ちになれる映画です。
71/100
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